【ビッグデータで見る食トレンド】この冬、人気のアルコール&ノンアルコール(後編)

こんにちは、ぐるなびデータライブラリ編集部です。


ぐるなびの保有する様々なデータを元に、ドリンクのトレンドを分析している【ビッグデータで見る食トレンド】この冬、人気のアルコール&ノンアルコール(前編はこちら)。
後編では、全国の飲食店へのアンケートから、今、選ばれているドリンクの傾向を読み解きつつ、コロナ禍以降ますます注目度の高まるノンアルコールについても紹介します。
 

目次

  • ランキングで見る人気のアルコールドリンク
  • 押さえておきたいアルコールドリンクの〝キーワード〟
  • 加盟店アンケート:実際どんなドリンクが選ばれている?
  • 2021年「今年の一皿®︎」でも話題!ノンアルコールの「アルコールテイスト飲料」
  • まとめ:さらなる取り扱い拡大が予想されるノンアルコール

加盟店アンケート:実際どんなドリンクが選ばれている?

下の表は、ぐるなびに加盟する飲食店を対象に行ったアンケートの結果です。
(調査期間:2021年9月 回答数:225店舗)

断トツ人気の「生ビール」。おいしいビールは、外食ならではの体験

飲食店で取り扱っているアルコール飲料については、「生ビール」が93.3%と最も多く、次いで「ワイン」(89.3%)、「ウイスキー」(86.7%)、「焼酎」(85.3%)、「瓶ビール」(80.0%)となっています。4位の「焼酎」以下は業態によって差がありますが、「梅酒・果実酒」(78.8%)、「チューハイ・サワー」(74.2%)、「日本酒」(73.3%)、「カクテル」(70.2%)なども、7割以上の店舗がラインナップしています。

 

次に、取り扱っているアルコール飲料の中で、人気が高い(注文が多い)ものを聞いたデータを見ると、「生ビール」が断トツの1位(84.0%)となりました。昨今は自宅で生ビールを楽しめるサーバーなども登場していますが、やはり「生ビールは外食で」という消費者層が一般的。他方、『最初は生ビールだが、別のドリンクに切り替える』というニーズもある中、2位以降のウイスキー(47.6%)、チューハイ・サワー(43.1%)、ワイン(38.2%)も一定の人気があります。

コロナ禍でアルコール取扱量は減少

続いて、直近1年間のアルコール飲料の取扱量を聞いたデータを見ると、全てのアルコール飲料で「昨年よりも減った」という回答が多くなりました。酒類提供自粛や時短営業など、新型コロナに絡む各種要請の影響が色濃く出ていると考えられます。
一方で、「ウイスキー」や「チューハイ・サワー」は、「増えた、新規に取り扱いを始めた」との回答が1割ほどありました。

また、アルコールの取扱い意識に関するデータを見ると、営業が制限されるコロナ禍においても、「料理メニューに合うアルコール飲料を取り扱う」「客層に合わせてアルコール飲料を取りそろえる」という飲食店側の意識から、ラインナップに変化があったこともうかがえます。

新ジャンルのドリンクも加わり、メニューが多様化

次に紹介するのは、取り扱っているアルコールの種類をより詳しく聞いたデータです。これを見ると、ビールジャンルでは「高級・プレミアムビール」(27.6%)、「外国産ビール」(16.0%)、「国産地ビール」(12.9%)が上位に。また、ビール以外のジャンルでは、「ジャパニーズウイスキー」(31.1%)、「ビアカクテル」(17.3%)、「日本ワイン」(16.9%)となりました。

国産のウイスキー「ジャパニーズウイスキー」は大手老舗メーカーの銘柄が有名ですが、近年は全国各地に新しい蒸溜所も登場。2008年のハイボールブームのほか、大手メーカーの銘柄が海外の品評会で高い評価を得たことなども追い風となって、安定的な人気があります。

「ビアカクテル」はビールをベースにしたカクテルで、トマトジュースとビールを合わせた「レッドアイ」などがメジャー。蒸留酒を使ったカクテルよりもアルコール度数が低く、ビールが苦手な人でも飲みやすいのが特徴で、幅広い層に支持されています。また、国産ブドウのみを原料とし、日本国内で製造された「日本ワイン」も、5年ほど前のブーム以降、ドリンクシーンに定着していることがうかがえます。

ノンアルコールへの関心が高い

一方、ノンアルコールの状況はどうでしょうか。自店で取り扱っているノンアルコール飲料を聞いたデータを見ると、最も多かったのは「ノンアルコールビール」(50.7%)で、次いで「ノンアルコール・カクテル」(24.0%)となりました。約半数の飲食店がノンアルココールビールをラインナップしており、その広がりが見て取れます。

2位の「ノンアルコール・カクテル」は、「mock(擬似)」と「cocktail(カクテル)」を組み合わせた「モクテル」とも呼ばれる新ジャンル。ソフトドリンクを組み合わせて簡単に作れるレシピから、旬のフルーツやスパイス、お茶、発酵食品などを使って趣向をこらしたものまでその種類は幅広く、進化した「ノンアルコール・カクテル」を提供する専門店も登場して人気を集めています。

3位以下の「ノンアルコール・スパークリングワイン」(12.4%)、「ノンアルコール・梅酒」(11.1%)も約1割がラインナップ。また、「最近オーダーが増えている(または今後品ぞろえを増やしたい)飲料」を聞いた質問では、ノンアルコールのシャンパンやワイン、ノンアルコールのハイボールなどの声が多数挙がり、ビール以外にも様々なジャンルのノンアルコールに注目が集まっていることが分かります。

2021年「今年の一皿®︎」でも話題!ノンアルコールの「アルコールテイスト飲料」

さらに、食の調査・研究を行う株式会社ぐるなび総研では、昨年12月に、2021年「今年の一皿®︎」として「アルコールテイスト飲料」を選出しました。
「今年の一皿®︎」とは、その年の日本の世相を反映し、象徴する“食”として毎年発表されているもの。約4,400万人のぐるなびユニークユーザーのアクセスデータや約2,100万人のぐるなび会員の声に加えて、新聞社、出版社など61社・92媒体のメディア関係者の審査、実行委員会の審査を経て決定されています。

コロナ禍の緊急事態宣言下で、アルコールの代わりに提供する店が増えて飲食店の救世主となったこと、また、製造方法が進化し、料理を引き立てる新たなジャンルとして確立されたこと、今後の日本の食文化として定着する可能性があることなどが、選定理由となっています。​​​​

まとめ:さらなる取り扱い拡大が予想されるノンアルコール

コロナ禍以前から提供されてきたノンアルコールドリンクですが、この1年で多くの飲食店に普及しました。新型コロナや若者のアルコール離れだけでなく、近年は幅広い世代で健康志向が高まっており、さらに多様性が重視される風潮もある中で、『お酒の好きな人も、飲めない人も、一緒に楽しく飲める』を実現できるノンアルコールは、一過性のブームにとどまらず、今後も広く浸透していくことが予想されます。