<キーワードで振り返る>2023年上半期の傾向と下半期のトレンド予想(後編)

こんにちは、ぐるなびデータライブラリ編集部です。
本編集部では、ぐるなびが行った飲食店アンケートや、データサービス「ぐるなびデータライブラリ」のデータを元に、トレンド予想やメニューの分析を行っております。

前回は、2023年の上期にトレンドとなった具体的な食材・メニューの紹介、そしてそこから見える下期のトレンド予想を紹介しました(前編はこちら)。今回は、2023年上半期の食トレンドを<キーワード別>に紐解いていきます。また、そこから見られる次なるトレンドについても考察していきます。

2023年食のトレンドキーワードは大きく6つ

2022年~2023年上期にかけて、どんな食トレンドがあったのか、6つのキーワードとその詳細をご紹介します。

1. 健康・予防食 ー タンパク質、低糖質、機能性食品

品が特に注目を集めています。低糖質・高タンパクなパンや冷凍食品、糖質カット・機能性食品はアルコール商品など、最近ではさまざまな商品が手軽に手に入れられるようになりました。

2.写真・動画映え食 ー 昭和レトロ、エディブルフラワー、カラーフード

SNSの影響を受け、写真・動画映えするグルメも引き続き人気です。お店の内装や雰囲気含めて写真に入れ込み、メロンソーダやパフェ、昔ながらのナポリタンを食すといった「昭和レトログルメ」ブームも昨年から続いています。ほかにも、食材に散らすだけで華やかになる食べれる花びら「エディブルフラワー」や、食材そのものの色から栄養を摂とろうという考えのもとじわじわと広がりを見せる「カラーフード」など、味だけでなく見た目も演出できる食がブームになっています。

3.わざわざグルメ(体験に価値のある食) ー  チュモッパ、串揚げ、ハンバーグ

「わざわざグルメ」とは、飲食店で最後の仕上げを客自身が行うグルメ全般のことを指します。例えば韓国のりや漬物、野菜などを刻んで丸く握る韓国おにぎり「チュモッパ」、自身で揚げ具合を調整できる「串揚げ」、ペレットという鉄の塊で焼き加減を調整できる「ハンバーグ」などがあります。イベントとして家族や仲間と楽しむ人が多いようです。

4.高級食材 ー カラスミ、鰻、トリュフ、キャビア

2023年以降の注目キーワードの一つは「高級食材」。カラスミ、鰻、トリュフ、キャビアなど、数年前のB級グルメブームとは反対の食材を使用したメニューが続々と登場しています。これは、小麦粉や卵を代表する食材の原価高騰対策として、飲食店などの提供側が高級路線のブランディングを行う傾向が見られていることから注目を浴びています。

5.インバウンド ー 和食、米メニュー、日本酒

「インバウンド」も2023年注目のキーワード。インバウンド再開の影響を受け、「和食」や「米メニュー」、「日本酒」といった、今までの“和食=寿司、天ぷら、ラーメン”といったイメージに新たなジャンルが追加されました。円安の今、インバウンドで来日する海外の旅行者は増え、それに伴って日本ならではのグルメがSNSなどを通して広まる可能性は高いと考えられます。

6.代替食品 ー 大豆ミート、植物性ミルク、代替卵

「代替食品」とは健康志向の人だけでなくアレルギー持ちの人でも食べられる食材として認知度が上がっています。技術の向上により、以前よりも本物に近い食感、風味、見た目に近づいていることや、先述と同じく食材の原価高騰対策としても2023年に入って改めて注目を集めています。

2023年以降注目のキーワード3つを深掘り

ここでは、先に挙げた注目キーワードの中でも特に2023年以降さらに注目を浴びた「高級食材」「インバウンド」「代替食品」の3つについて、具体的な食材やグルメを深掘りして紹介します。

高級食材【カラスミ】日本三大珍味の一つが新しいアレンジで再注目

魚の卵巣を塩漬けにして圧搾・乾燥させることで作られるカラスミ。ボラの卵巣だけでなく、サワラやサバのカラスミなど地域によってさまざまな種類が存在します。
お酒のつまみとしては有名ですが、最近ではサンドイッチ、ポテトサラダ、炒飯、パスタなどにからすみを使用した新たなアレンジグルメがSNSでも人気に。2022年の秋頃から検索数が増加しており、2023年に入ってより一層注目を集めています。

インバウンド【日本酒カクテル】若者人気も上昇

日本酒カクテルとは、日本酒をベースに作られたカクテルの総称です。インバウンド再開の影響だけでなく、若者の日本酒離れ対策として生み出されました。
目で楽しめるカラフルなもののほか、フローズンカクテルにしてストローで飲むなど、味だけではない工夫が話題を呼び、日本酒カクテルの飲み比べイベントが開催されるほどの人気を博しています。

代替食品【豆乳】第3次ブームの到来!? 専門店が続々登場

既に日本の食生活に定着している豆乳ですが、1983年頃の第1次ブーム、2005年頃の第2次ブームに続く第3次ブームに入っているといわれています。豆乳の国内生産量を見ても、2020年まで10年連続で過去最高を更新し、2010年から2020年にかけて約2倍にも増加しています。
牛乳ではなく豆乳を使ったシェイクやタピオカドリンクを楽しめる豆乳ドリンク専門店や、豆乳を使った台湾スイーツ専門店なども登場しており、改めてその人気に拍車がかかっています。

 

下半期を牽引するのは「ヘルシー」&「定番アレンジ」の予感

2023年上半期のトレンドキーワードとなった「健康・予防食」や「代替食品」からも分かるように、健康志向は定着化されており、ヘルシーな食品は引き続きニーズが高いようです。これは、技術の発達により叶えられることが増えたことも影響しているのかもしれません。
また、日本酒カクテルやカラスミのように、定番食材の食感や見た目のアレンジ、違うレシピへの使用など今までと違う視点で工夫を加えることで新たなブームを生み出すのだということも、今回の考察から明らかになりました。
2023年下半期から来年にかけて、今回ご紹介したトレンドキーワードの傾向は続くと考えられ、今回ご紹介した6つのキーワードをかけ合わせることで新たなグルメ・食品ブームが起きるかもしれません。

ぐるなびビッグデータ・データライブラリ

ぐるなびが蓄積したビッグデータから、食に関わるマーケティングや商品開発に必要なトレンド情報を引き出せる