【ビッグデータで見る食トレンド】中華の今:台湾料理は“シビれ”並みのブームか? ネクスト台湾の新株は?

 

こんにちは、ぐるなびデータライブラリ編集部です。本編集部では、ぐるなびが保有するビッグデータを元に、流行しているメニューの分析や、今後のトレンド予想などを行っています。 

日本人にとっておなじみのジャンルである“中華”。ラーメン、チャーハン、餃子などは国民食として広く定着していますが、ここ数年、新たな中華メニューが脚光を浴びています。例えば2018年には、舌がしびれるような辛さのスパイス「花椒(ホアジャオ)」を使った四川料理系の“シビれ”メニューが一大ブームに。そして“シビれ”人気がひと段落した最近では、台湾料理や中国の様々な地域で食されている郷土料理など、より幅広い意味での“中華”に注目が集まっています。
今回は「ぐるなびデータライブラリ」を使って、そんな中華のトレンドを読み解いていきたいと思います。

目次

中華の人気ランキング、王道の3品が上位に

コロナ禍でテイクアウト向きメニューも好調

下の左側の表は、あるメニューが飲食店でどのくらい提供されているかを表す「取扱指数(※1)」のランキング、同じく右側の表は、ユーザーが検索している中華のキーワードを表す「検索指数(※2)」のランキングです。

※1:取扱指数 ぐるなびに加盟する全店舗のうち、指定キーワードがメニューに掲載されている店舗(取扱店舗)がどのくらい存在するかを表す。特定時点に1,000店舗あたり何店舗存在するかで算出
※2:検索指数 ユーザーが、指定キーワードをどのくらい検索しているかを表す。特定期間に検索100,000回あたり何回検索されたかで算出 


まず飲食店での取扱指数ランキング(左表)を見ると、1位「餃子」、2位「ラーメン」、3位「チャーハン」と、まさにド定番といったメニューが並びました。続いて4位には「焼きそば」、5位には「春巻き」がランクイン。「焼きそば」や「春巻き」は汁気が少なく、ある程度の時間が経っても美味しさを保ちやすいという特徴も。コロナ禍でイートイン営業が制限される中、テイクアウト対応のしやすさから広く提供されるようになったことが考えられます。

続いて、ユーザーが検索している中華のキーワードランキング(右表)を見ると、1位「ラーメン」、2位「餃子」、4位「チャーハン」、5位「焼きそば」と、上位には取扱指数ランキングと同じメニューが並びました。一方、3位には「小籠包」、6位には「飲茶」がランクイン。「飲茶」は“中国茶を飲みながら点心を食べる広東省の食習慣”を指す言葉ですが、日本では「小籠包」をはじめとした「点心」そのものを意図して使われることも多く、点心類も好評であることがうかがえます。

台湾料理をオンメニューする店が増加

ユーザーの関心は「台湾」に加え、「広東料理」などにも広がる

次に、この1年で飲食店での取り扱いやユーザーの検索が伸びたのはどんなメニューだったのでしょうか。そこから、最近のトレンドがどう動いているかを探っていきましょう。
下の2つの表は、先ほど紹介した取扱指数と検索指数を昨年のデータと比較し、その上昇率をランキング形式にしたものです。


飲食店における取扱指数・上昇率ランキングでは、1位「豆花(トーファ)」、2位「魯肉飯(ルーローハン)」と台湾料理が上位に入りました。「豆花」とは豆乳を硫酸カルシウムで固めたもので、プリンやゼリーのような食感のデザート。小豆や白玉、果物などをトッピングし、黒蜜ベースのシロップをかけるのが一般的で、豆乳のまろやかな味わいと優しい甘味が特徴です。日本にも数年前から「豆花」の専門店ができており、トッピングの種類が豊富で選ぶ楽しみがあることなどから、特に女性を中心に広く定着してきています。

また「魯肉飯」は、豚バラ肉を揚げたタマネギや醤油、砂糖、スパイスなどと一緒に甘辛く煮込み、ごはんにかけた台湾のどんぶりメニュー。魯肉飯も専門店が存在するほか、昨今はカフェやフレンチのビストロなどでも看板メニューとして提供され、話題になっています。また、定番ランキングで上位に入った「焼きそば」「春巻き」と同様に、テイクアウト対応がしやすいメニューであることも、この1年で伸びた大きな要因と言えそうです。​​​​​​​

一方、ユーザーの検索指数・上昇率ランキングでは、台湾北部の名物スイーツ「台湾カステラ」が1位となりました。しっとりした食感で食べごたえのある日本のカステラと異なり、「台湾カステラ」はふわふわときめ細やかな食感。タピオカ専門店や台湾料理店、カフェなどで提供されるほか、昨年は台湾カステラ専門店の新店も続々とオープンし話題になりました。チーズやチョコレート、抹茶など、アレンジされた新商品なども登場しており、ユーザーの関心は引き続き高いようです。

また、2位には「広東料理」がランクイン。「広東料理」とは「北京料理」「上海料理」「四川料理」と並ぶ4大中国料理の1つで、「酢豚」や「焼売」などのメニューが代表的。5位にランクインしている「飲茶」も、前述の通り広東発祥の食文化です。
もともと広東料理は日本でも馴染み深いジャンルですが、最近は日本風にアレンジされたものではなく、広東省の点心師が手作りする点心や、香港産の食材を使い現地の味わいを再現したものなど、本場感を重視した「広東料理」が好調。さらに、「フカヒレ」などを前面に打ち出す高級店よりも、海鮮焼売やお粥、春巻きなどのフードメニューに、中国茶を組み合わせて楽しむ、よりカジュアルな業態に人気が集まっています。また、おかず系とともに甘い点心と中国茶のセットなどを提供する店もあり、カフェ利用ができることもコロナ禍で注目される要因の一つと言えそうです。​​​​​​​

まとめ:トレンド傾向をたどる台湾グルメ

注目の新株も、キーワードは“本場感”か

取扱指数、検索指数ともに、上位には台湾料理のメニューが並びました。そこで、ここからは「ぐるなびデータライブラリ」の台湾関連データをチェックしてみましょう。
下の図は、「台湾」をキーワードに含むユーザーの検索指数と、「台湾」をメニュー名に含む料理の飲食店での取扱指数を示したものです。


これを見ると、ユーザーの検索指数が2021年5月にピークを迎えた後、11月には飲食店の取扱指数が急増して検索指数とクロスしています。この現象は多くのトレンドグルメに共通する波形。ユーザーの検索指数が上昇し、消費者間での知名度が上がってメニュー名が定着すると、検索機会が減るため検索指数が下がり、一方で飲食店での取り扱いが増え続けるという流れで生じます。台湾メニューにも同じ動きがあることから、データを見ても台湾メニューは明確なグルメトレンドであり、現在は“定番”として広く消費者に浸透していると考えられます。

一方、ユーザー検索指数で上昇が見られる「広東料理」など、台湾以外のメニューにも盛り上がりの予感が。現地の味を再現した人気店が登場していることなどからも、本場の味や雰囲気を感じられることが、長引くコロナ禍で重視されているのかもしれません。
 

 

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