こんにちは、ぐるなびデータライブラリ編集部です。
本編集部では、ぐるなびが行った飲食店アンケートや、データサービス「ぐるなびデータライブラリ」のデータを元に、トレンド予想やメニュー分析を行っております。
「優れた日本の食文化を人々の共通の遺産として記録に残し、保護・継承するために、その年の世相を反映し、象徴する食」として、ぐるなびでは「今年の一皿®」を毎年発表しています。ユーザーによる検索・行動履歴などのビッグデータから抽出したワードをもとに、ぐるなび会員を対象としたアンケートおよびメディア関係者の審査を経て決まります。
今年の「今年の一皿®」は一体何が選ばれたのか? ノミネートされた食・メニューも含めて詳しく解説していきます。
昨年の「今年の一皿®」選出メニューを振り返り
コロナウイルスの影響によってデリバリーやお取り寄せ文化がより身近になった2022年は「冷凍グルメ」が選ばれました。その他、ストレス緩和効果を謳った「乳酸菌飲料」や、味や店の雰囲気を限りなく本場に寄せた「ガチ中華」もノミネート。2023年も昨年の受賞/ノミネート食は引き続き注目され、日本の食文化への定着化を遂げている印象です(昨年の記事はこちら)。
2023年は「ご馳走おにぎり」に決定!
2023年「今年の一皿®」は「ご馳走おにぎり」が選出されました。ここからは、「ご馳走おにぎり」の選出理由の他、ノミネートされたメニューについても紹介します。
【今年の一皿®】日本の伝統食が進化「ご馳走おにぎり」
日本の家庭料理であり、国民食である「おにぎり」が全国でブームに。具材を包むだけでなくふんだんに上に乗せることで写真映えを叶え、SNSを中心に話題になりました。さらに豊富な具材から好きなものを選べるスタイルで提供されることが増え、これが消費者に受けたことで「ご馳走おにぎり」へと進化しました。
おにぎりの取扱指数*は今年に入ってから右肩上がりで、おにぎり専門店が続々と新規開業されています。さらに海外でも“ONIGIRI”の名で販売されるなど、日本の伝統的な⾷文化が世界に浸透しつつあります。 昔からある伝統食であること、さらにその影響力の広まりから「今年の一皿」に選ばれました。
※取扱指数…指定キーワードについて、特定時点の全店舗数における取扱店店舗数の割合を表す数値。特定時点で1,000店舗あたり何店舗存在するかという指標。
【準大賞】小麦の代替品から発展「米粉グルメ」
準大賞は「米粉グルメ」。輸入小麦価格の高騰が⻑期化する中、国内供給が安定していることから小麦の“代替品”として注目が集まりました。米粉を使用したパンや麺商品などを見かける機会が増えた、という人も多いのではないでしょうか。
米粉の取扱指数も増加傾向となっています。米粉ならではの「もちもち」や「しっとり」といった⾷感が受け、あえて小麦粉ではなく米粉グルメを選ぶ人が増えているだけでなく、昨今の健康志向の高まりも後押しし、低グルテンメニューとして米粉グルメが続々と登場してきています。
【食のポシビリティ賞】コスト削減・鮮度維持を実現する「陸上養殖魚」
サーモン、エビ、アワビ…。「陸上養殖魚」とは、海や川でなく、最新技術を駆使して陸上の施設で人工的に養殖された魚介類全般を指します。海洋汚染や地球温暖化など環境問題の影響を受けにくく、持続可能な水産資源として注目され始めています。場所を選ばずに養殖できること、さらに海でなく陸上から運ばれるので鮮度維持や輸送コストの削減にもつながるとして、昨今その需要が拡大。先端技術を用いた新規事業者が参入し、利便性やコスト面だけでなく、今後はその美味しさの追及や品質向上が期待されています。
【ノミネート】水産物禁輸措置を機に注目「ホタテ」
諸外国での水産物禁輸措置を受け日本の水産業が大きな打撃を受け、各メディアで取り上げられる機会の多かった「ホタテ」がノミネート。検索指数も8月以降急上昇しています。
※検索指数…指定キーワードについて、特定期間の全検索回数における検索回数割合を表す数値。特定期間に検索100,000回あたり何回検索されたかという指標
ホタテを筆頭に、諸外国で水産物禁輸措置を受けた海産物の国内余剰在庫を消費するため、大手外⾷チェーンでのメニュー展開・ふるさと納税の返礼品などを通じて支援の動きがみられています。今後は、国内における販路拡大や飲⾷店でのメニュー提供など消費がより高まる可能性が高いと考えられます。
日本回帰が強く見られた2023年
「今年の一皿®」に選出/ノミネートされた食・メニューは、どれも日本国内の食文化の継承と発展を反映させたものとなりました。食材における諸外国との輸出入事情が大きく影響し、国産食材の見直しがなされた一年と言えます。今まで当たり前だった米や魚といった日本の食文化に欠かせない食材が、現代の最新技術やアピール方法によって改めて注目されるようになりました。今後も輸入食材の高騰や輸出入事情は続くと見られ、「まったく知らなかった新しいものを取り入れる」という時代から「今まであったものを発展させ、新しくする」という時代が始まるのかもしれません。