こんにちは、ぐるなびデータライブラリ編集部です。
本編集部では、ぐるなびが行った飲食店アンケートや、データサービス「ぐるなびデータライブラリ」のデータを元に、トレンド予想やメニューの分析を行っております。
今年もすでに猛暑日が続いており、夏らしい気候となっています。そして毎年夏に注目される料理といえば、やっぱり刺激たっぷりの「辛い料理」ですよね。そこで今回は、ぐるなびが行ったさまざまなアンケート・調査から、今夏の「辛い料理」のトレンドについて分析・解説をしていきます。
目次
夏に辛い料理を欲するのは、理由があった!?
暑い夏には、なぜか辛い料理を食べたくなりませんか。これは、辛い料理を食べて汗をかくと体内の熱が放出され、体が涼しく感じられるためです。また、使用される唐辛子などのスパイスにより、夏に減退しがちな食欲の増進の効果が期待されることも理由の1つ。
夏に辛いものを欲する人が増えるのにも、理にかなった理由があるんですね。
辛いもの好き人口は、年々増加傾向
夏に限定せずとも、辛い料理の人気は昨年に比べて約4%アップという結果が出ています。中国料理、韓国料理、エスニック料理、その他海外のさまざまなジャンルの飲食店が日本国内で増えて辛い料理を食べる機会が増えるとともに、辛い料理を食べることへのハードルが下がってきていることが考えられます。
ただ辛いだけではない、「うま味」が求められている
「今夏に食べてみたい味わい」をユーザーに聞いてみたところ、アンケート結果の上位5位までを「辛い料理」が独占しており、その人気が顕著に見られます。
また、ただ辛いだけではなく、その中に「うま味」がプラスされた味わいが求められていることもアンケートにより分かりました。「うま味の中に辛味がアクセントになったピリ辛味」(49.7%)や「辛さと発酵食品などを組み合わせたマイルドでうま味が際立つ味」(27.6%)への人気も特徴的で、主役である料理のうま味を引き立たせる役割としての辛味、つまり「ピリ辛」「うま辛」が今夏のトレンドキーワードとなりそうです。
男性は「ピリ辛ラーメン」、女性は「韓国料理」に期待
激辛料理で注目しているジャンルとしては、全世代・両性別あわせて、1位「中国料理(中華)」(44.1%)、2位「韓国料理」(42.3%)、3位「ラーメン」(35%)の順になりました。
20~30代男性からの人気が高い「ラーメン」(20代男性 38.2% 30代男性 38.7%)は、豚骨・魚介・野菜によるスープのもともとの“うま味”に辛味がプラスされることで生まれる「ピリ辛ラーメン」に期待が高まっていることが分かります。
ヤンニョムチキンやスンドゥブなどの専門店も定番化してきた韓国料理は、まさに“うま辛”料理ジャンルの代表格。たっぷりの野菜と多くの発酵食品が使われている韓国料理は、辛味だけでなくヘルシーなイメージも強く、どの世代の女性からも人気が高い結果となりました。特に20代からの人気が60.9%と最も高く、流行に敏感な世代から、常に新しいメニューの登場が注目されています。
「激辛料理」に関するアンケート調査のその他の設問と結果については、こちらからご覧いただけます。
掲載メニューのデータから見る、うま辛メニューの人気
次に、ぐるなび掲載店舗における、韓国料理とエスニック料理のメニューデータをランキング形式で紹介します。昨年に比べて取扱指数(取り扱う店舗数)が上がったメニューを見ることで、ユーザー人気の傾向が明らかになります。この結果からも、多くのうま辛料理がランクインしており、辛い料理の人気が明らかとなりました。
※ぐるなびメニュー掲載店舗で取り扱われているメニューデータの中から、[韓国料理]に該当するメニューの取扱指数を、2022年6月と2021年6月の数値で比較し、増加率上位メニューをランキングで記載。
毎年、日本国内で新しいブームを巻き起こす韓国料理。取扱指数が増えたメニューの上位15位のうち、5品が辛い料理でした。
※テグタン:高たんぱく、低脂肪、高鉄分であるタラ(頭、身、肝、白子)と、もやし・ダイコン・セリなどの野菜を、唐辛子・にんにく・しょうがが効いたスープで煮込んだ鍋料理
※ナッコプセ:タコ、牛ホルモン、エビ、ネギなどの野菜、春雨をコチュジャン・唐辛子ベースのスープで煮込む鍋料理
※ラッポッキ:ラーメンとトッポッキを組み合わせた料理
※チュクミポックン:タコ、もやし・きのこ・ネギなどの野菜、トッポッキを、唐辛子ベースの調味料で炒めた炒め料理
※ぐるなびメニュー掲載店舗で取り扱われているメニューデータの中から、[エスニック料理]に該当するメニューの取扱指数を、2022年6月と2021年6月の数値で比較し、増加率上位メニューをランキングで記載。
「ピリ辛」として辛味を活かし、素材のうま味を引き立たせるのがうまいジャンルといえばエスニック料理。そんなエスニック料理では、昨年に比べて取扱指数が増加した全13品のうち、5品が辛い料理でした。1位のトムヤム鍋は、いまや様々なブランドからも鍋の素が出るほどの人気ですよね。
※カオソーイ:ココナッツミルクをベースとしたカレースープに、揚げ麺とゆで麺、唐辛子、野菜が入ったタイの麺料理
※ヤムウンセン:春雨、エビ・イカ、ひき肉、玉ねぎなどの野菜を、ナンプラーや唐辛子などで和えたタイのサラダ
今夏注目のうま辛メニューは「庶民的」もポイント!
ここからは、2022年の夏にどんなメニューがトレンドを牽引していくのかを予想していきます。
先述の消費者アンケートデータから分析する限り、あくまで主役である“うま味”を引き立たせるアクセントとしての辛味が人気であることが分かりました。また、各国を代表する王道メニューというよりは、庶民的、つまりB級グルメや屋台グルメといったメニューもトレンドになりやすい傾向だということが分かります。
この傾向を踏まえ、今夏ぐるなびが注目するうま辛メニューを2つ紹介します。常に新しいブームを作る韓国料理からは「ラッポッキ」、使用するハーブやスパイスで個性が大きくでるタイ料理からは「カオソーイ」を紹介します。
「ラーメン(ラミョン)」と「トッポッキ」を組み合わせた「ラッポッキ」。韓国では定番のちぢれ麺を、トッポッキのスープで煮込んだ麺料理です。もともとは韓国のB級グルメとして人気に火がつき、SNSなどを通して、日本でもその人気が出始めています。
野菜と一緒に煮込んだり、卵やチーズといったトッピングでの味変も人気。コチュジャン・唐辛子を使ったトッポッキの甘辛いタレが麺や素材に絡み、どこを食べても、うま味を含んだ辛さが舌を刺激します。まさに辛い物好きにはたまらない一品です。
先述のアンケート結果で紹介した「男性が注目するラーメン ✕ 女性が注目する韓国料理」の両方のニーズを満たしたメニューなので、今夏の躍進に期待です。
タイの屋台料理として人気の「カオソーイ」は、日本語で言うと『揚げ麺のせカレーラーメン』。ココナッツミルクをベースとしたまろやかなカレースープで卵麺、鶏肉などを茹で、最後に揚げた麺をトッピングするのが一般的です。揚げ麺のサクサクとした食感と、カレーの香りが食欲をそそります。
スープに鶏ガラを使用したり、干しえびペーストを入れたり、カレーペーストのスパイスを変えたりと、店によって大きく個性が分かれるのが特徴。その違いを楽しみに、さまざまな店を食べ歩く人もでるほどで、今夏、その人気により拍車がかかりそうです。
中見出し夏のキーワードは「うま辛」
2022年の夏は「うま辛」や「B級グルメ」がキーワードとなる料理のトレンドが予想されます。また、引き続き韓国料理の人気は衰えず、さらなるブームを生み出しそうです。